米国では4,600万人もの無保険者がおり、そのため皆保険を創設する医療保険改革を大統領が行おうとしているのに対し、政府の負担の肥大化に反対する人たちの大規模なデモが続いています。所得や人種・民族や社会的階層によって生じる健康格差が社会問題化しているからです。
日本では平成10年有馬正高らの調査で、知的障害者は、5~16歳は5.8倍、20~29歳で4.4倍、30~39歳まで3.7倍、40歳代でも2.1倍一般の人より死亡率が高いとの報告があり、受診そのものが困難なことが多いとの声も記されています。この報告書のタイトルは「不平等な命」です。
明治の初頭松沢病院の初代院長として精神医学に尽力した呉秀三は『わが国の精神障害者はこの病気になった不幸に加え、この国に生まれたという不幸を二重に背負っている』という言葉を残しています。現在でもその状況は変わりません。
わが国は少し前まで皆年金・皆保険、そして治安の良い国で格差の少ない国でした。福祉ニーズのピークを目前に控え『命の格差』があってはなりません。
(職員向けメッセージより)