仕事とは価値と機能とで出来ている。
車であれば、軽自動車は町の中を走るのには適しているが、高速の長距離を走るのには排気量の大きな車の方が疲れず安全である。
人を乗せ移動するという意味においては同じ機能だが、それぞれの使い方によって利点がちがう。その違いがその車の価値となる。
私たちの仕事を表す言葉に、ケアや支援という言葉が使われる。
英語の「care」には、弱者、患者、障害者の世話をして「あげる」といった強者からのサービスという含みがあり、アメリカの障害者福祉の領域では、care を嫌って、attendant service(アテンダント・サービス)(付き添い)といった表現も使われる。
かつては指導員と呼ばれていた職員は、現在では生活支援員という名称に代わっている。
福祉の現場の"かかわり"という営みには、物理的活動という機能に加え、エンパワーメントを前提とする「癒す」「慰める」「励ます」「思いやる」「安心させる」などの精神的な活動という価値が大きな意味を持つのである。
福祉の価値を共感的に伝えていくことが、福祉の現場を組織することにつながる。
機能だけでは福祉とは呼ばない。
従来型の権限・指示・命令で人を動かそうとするとき、無意識に怒りという感情と罰という武器を使ってしまう。
コアビリーフの違いは怒りを生み出す。
これをすり合わせることなく、コントロールできないことに怒ってしまうのである。
このような環境では、仕事の価値を見出すことが困難なばかりか、やらされ感、ストレス感、苦痛で一杯になり硬直した組織となり、失敗の原因を他者のせいにしてしまい依存型の組織になってしまう。
一方、うまくいっている施設には共通する因子がある。
リーダー自らが、見本となり信頼されるいい人間関係を作る。常に明確な理念を共感的に伝え(理念共感型)、意識的に自由度のある空間を作る。
そんな空間こそが創造的なアイデアを生む(自立創造型、自己責任型)、そして、相手が輝くように、生かされるように、応援をする。
応援は、上下、立場を超えて行う(相互支援型)。
このような組織づくりのことをメンタリングマネジメントという。
従来型のマネジメントは、すでに機能不全を起こしており、福祉の価値を過小評価し、権利侵害、虐待がなくならない土壌を作っている。応援しあう相互支援社会では、虐待とは真逆な世界ができる。
組織の成長は、その構成員が創造性を発揮する学習環境を整えることに尽きる。
人はストレスや不安などのネガティブな感情に支配されているとき理性は働かない。
人がロジカルなことを考える(大脳皮質)ためには、大脳辺縁系が、たのしい、うれしいといった感情が必要である。そのとき、ドーパミンやエンドルフィンといった幸せのホルモンが分泌される。
応援し合うとは、自らも相手も組織も、そしてなによりもご利用者をポジティブな状態にすることです。
(職員向けメッセージより)