平成24年総合福祉法の施行時、
「自らのことは自らが決める」
ということが自立の概念としで世界的にも定着しており、エンパワーメントという言葉でそのことを表現しています。
しかしながら、どうしても、意思を決めることが困難な方々の存在することも、支援者側の課題として残りました。
様々な論議が交わされました。
法的な契約が困難な方々のための成年後見人制度という形で"支援される意思"ということが存在しますが、日本の成年後見精度は、無能力主義で公民権まで奪ってしまっていました。
現在は親御さんや当事者の裁判の結果、選挙権は取り戻しています。
この成年後見人制度は、意思代行支援と言われています。
また、視覚障害者の点字や聴覚障害者のための手話などは意思疎通支援と呼ばれています。
知的障害の重いい人たちのためには、
「相手の中で起こっていることが、相手と自分のかかわりの中で、沁みるように伝わってくる」
相手の主観の中で起こっている情動が、自らの主観の中で何かしらの情動が喚起されていく状態のことを「間主観的に他者をわかる」という鯨岡峻(京都大学名誉教授・発達心理学者)の論点が多くに取り上げられました。
また、ミラーニューロンの存在など私たちには他者を理解する力がすでに備わっており、その力を肯定的に使うことにより、わかりにくいとされる障害の重い人たちの本当の想いに近づくことができると考えました。
ただ、このような議論は抽象的になりやすく、さらに細分化した作業が必要となりました。
私たちは、何かしらの支援をする必要がある時、
『瞬時に「どうすべきか」を考え(思い)、行動に移し、その結果どのようになった』
という流れで仕事をしています。
この場合のどのように考えという部分はアセスメントの部分であり、そのことを共有化し良いレスポンスが得られるとき
"本当の想い"
に近ずく第一歩です。
次に意思が明確になる取り組みです。
人は安心できる環境でなければ学習効果は上がりません。
人がもっとも大きな刺激です。
そして、肯定的に理解されているという体験の積み重ねが、他者への信頼と自らの自信へとなります。
この段階になると、本人が望んでいるであろうことがわかりやすくなってきます。
そしてそれに応えていくに従い豊かさや幸福感を感じていくようになります。
支援者側も、
"心のやり取り"がスムーズにいくことで自らも幸福感を感じます。
そして人生を選べるようになります。
意思が明確になる取り組みは意思形成支援です。
これが意思決定支援の入り口となります。
(職員向けメッセージより)